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幼時から、モノの見方が人と違うと言われてきた筆者が、一味違った切り口から語ります。心の一服の清涼剤になれば。
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「戦略」の意味について

最近、至る所で「戦略」という言葉を聞くようになった。そして、「戦略」とは「戦術」とは違い、戦う目的を達成するための戦術の使い方である、ということまで言われている。

戦略とは、言うまでもなく、一国の軍が他国と戦争するときの発想から派生して、企業経営など、複数のプレイヤーの競争状態の中で優位に立つための方法論ぐらいの意味で用いられている。

そもそも戦略とは何であろうか。戦争における戦略に思いを馳せるとき、そこには、「敵」という存在が明確にある。それは、自らを現に攻撃している敵である場合もあれば、自らが優位に立つために倒す必要のある敵である場合もある。何れにせよ、そのような敵のことを明確に捉えて初めて、戦略という発想が生まれるのである。

こう考えると、戦略というものは不可避的に勝敗を伴うものであると理解されよう。敵に優位に立つためには、敵を負かす必要があるからである。その点、市場で競争する複数のプレイヤー間で戦略が語られるとき、倒すべき敵の存在は明らかでない。倒れない敵に対して常に優位に立つための努力を強いられる、という言い方もできよう。その点で、戦争における戦略とは前提条件が異なるが、基本的な発想は同様だと考える。

戦略の成功は、敵を倒せたかどうかで決まる。ただし、その敵とて、こちらから仕掛けられた戦いに無抵抗でいるはずがなく、当然、反撃を試みるであろう。そして、こちらの攻撃と相手方の反撃との巧拙により、勝敗が決するのである。力量において相手方が明らかに劣る場合は別として、どちらが勝つかは、ある程度は心理戦による部分もあろう。

以上、述べたことは、いわば積極的な戦略、打って出る戦略であって、このような戦略とは別に、いわば消極的な戦略というものも成り立つ。それは、相手方からの攻撃を防御する戦略であり、日本の自衛隊の防衛的機能も、この消極的な戦略に立つものであるべきなのであろう。

消極的な戦略においては、攻撃を仕掛けてきた敵に対して、力量的にこちら側が優位であることを見せ付けるか、そこまでは無理としても、敵に対して、こちらを攻撃するメリットをより小さく、デメリットをより大きく見せる必要がある。これは、実際に示すのでも、心理戦によるのでも、両方の方法があり得る。

さて、積極的であれ消極的であれ、戦略というものは、敵の存在があって初めて成立するものだとすれば、最も戦略を立てにくい場合は、敵が存在しないケース、あるいは敵の存在が明確には把握できないケースであろう。

話が飛躍するようだが、日本が、高度経済成長を経て、バブルの崩壊を経験し、その後、いわゆる「失われた10年」を過ごすことを余儀なくされたのは、思うに、敵の存在がみえない中で、その経済的優位性を維持するための有効な戦略を打ち出し得なかったからではないか。
by myview | 2006-01-04 21:19 | 私の見方
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